
アフリカにおける中国の影響力は想像以上のものがある
10億人の人口と豊富な天然資源を背景にアフリカの存在感が近年高まっている。1人当たりの年間所得が小さくとも人口が多いので、国際金融公社(IFC)によると年間所得3000ドル以下(購買力平均価格)のBOP(ベース・オブ・ピラミッド)市場だけで約4290億ドル(約33兆円)もの規模を持つ。
こういったアフリカの潜在力に目を付け急速に現地に浸透しつつあるのが中国だ。中国のアフリカ進出は最近多く取り上げられており有名になったが、その進出は想像以上に著しい。市場と資源の獲得が目的なのは明らかで、アフリカの有望な資源にはほぼ手を付けていると思って良く、インフラなど産業面でも多くの中国企業が目立つ。エチオピアでは携帯通信網構築を中国の総合通信機器メーカー、中興通訊(ちゅうこうつうしん=ZTE)が1社独占するほどの成果を出している。
欧米では露骨な中国のアフリカ進出に、屯田になぞらえ「中国型新植民地主義だ」との批判が噴出。中国はこうした見方に対し、昨年12月に中国外務省の報道官は記者会見で「中国の目的はアフリカに農業技術を提供し、農業生産発展の手助けをしている。アフリカ諸国は援助を歓迎しており、批判は事実ではない」と話した。こうした批判は中国が積極的なアフリカ進出を続ける限りやみそうにない。
<高まる反中感情、不満>
一方、中国の進出に対し当事者のアフリカ側はどう思っているのか。中国とアフリカの貿易額は年間1000億ドルを優に超しており、中国抜きには経済を語れなくなっている国は多い。そのため、政府としては中国の投資を歓迎する声がほとんど。しかし歓迎ばかりではなく、実際は中国の影響力増大が大きな論争となっているが事実。中国の進出は人材から資材まで多くを中国から持ってきて完結してしまうため、結果的に現地ではなく中国の利益にしかなっていないため、摩擦も少なくない。アフリカ人自身が中国に対し「植民地的」と反発することが少なくないという。
例えばザンビアでは06年に中国企業保有する銅鉱山で働くザンビアへの賃金未払いでデモが起こった際、中国人監督が労働者に発砲し46人が死亡する事件が発生。同国では05年4月にも中国資本が運営する鉱山の火製造薬工場で爆発事故が起こりザンビア人労働者を含む51人が死亡していたため、反中感情が高まり06年の同国大統領選挙では中国との関係が主要な焦点となった。
中国でも、本気かどうかは別にしてアフリカ諸国で特に関係の深いザンビアを中国の省にしようとの声が挙がっており、実際にザンビアの大統領候補が選挙時「ザンビアは中国の省になりつつある」と発言するほどで、警戒心は年々強くなっている。ザンビアは代表的な例だが、こういった事件は中国が進出するアフリカ諸国では大なり小なり起きている。特に鉱山などにおける現地労働者への抑圧的な態度、中国の強引な商習慣押し付け、中国資本によって整備されたインフラに欠陥が多いこと、アフリカ人に思ったように富が回ってこない、など不満は多い。
当然、中国側にしてもこういった摩擦問題などリスクはある。ただ、現在は多くのアフリカ人が中国は欧米より良いパートナーという思いを持っているのは確かのようだ。アフリカの経済発展と同時にアフリカ関連のファンドにも注目度が高まっているなか、アフリカ経済の動向に大きな影響力を与える中国のアフリカにおける動きにも目を向けておきたい。なお、主なアフリカファンドには「野村 アフリカ株投資」「日興 アフリカ株式ファンド」「JPM 中東アフリカ株式ファンド」などがある。